心因性視力障害
心身症とは、ストレスによる心理的な影響で、身体に様々な障害が現れることをいいます。
子どもの目の心身症として、「心因性視力障害」があります。
症状
眼球に器質的な異常や疾患がなく、ついこの前までは見えていたのに、検査でいかなるレンズを入れても視力が出ない状態に陥ります。
眼科的な正常視力は矯正視力で(1.0)ですが、普通に行う視力検査だけではまったく視力が出なくなります。
心身症としての心因性視覚障害では、視力の異常が一番多く見られます。
他には視野障害や色覚異常で現れることもあります。
原因
8歳から12歳に発症のピークがあるとされ、男女比では3~4倍で女児に多くなっています。
ストレスにより起こりますが、原因がはっきりとしているケースは約60%で、不明のケースもあります。
原因がはっきりしていても、家庭や学校など本人をとりまく環境の問題であるため、直ちに解消・解決・改善されるケースは少なく、比較的長期間にわたり症状は続いてしまいます。
しかし一年以内に治るケースが大半です。
焦らず急ぎすぎず取り組むことが大切です
元々、眼に器質的異常や疾患があるわけではないので、時間はかかりますが必ず良くなりますから眼科学的には心配は不要です。
しかしながら、本人が心理的に抱える問題は存在しているため、本人だけではなく家族や学校の先生方の協力が必要であったり、場合により小児科や心理カウンセリングに頼らなくてはならない場合もあるようです。
ただし必要以上に過度の心配はせず、焦らず急ぎすぎずに問題解決に取り組むことが大切とされています。
日常生活のことをじっくりとお聞きします
私(院長)の経験した多くの患者様は、学校検診で異常を指摘され眼科受診し視力も出ないものの、眼に近視や遠視、乱視などの強い屈折異常はなく、疾患もないことが共通しておりました。
視力を測る場面や家族や他人に「見えてる?」と聞かれる場面では「見えない」と答えますが、家庭でテレビを見たり買い物に出かけたりしている間など、実生活において視力で不自由していることはありません。
また視力は両眼ともに矯正で0.1くらいの患者様でしたが、自転車通学の行き帰りはなんら不自由なく颯爽と自転車を走らせているケースなど、ほとんどの場合は日常生活に支障はなく満足に行えているようです。
本当に近視などで見えていないお子様ではこうはいきませんので、鑑別する際にはよくこのようなことを問診しております。
しっかりと向き合いましょう
学校検診の時期になると、必ず見受けられられる視力障害にはなります。
まさか我が子が…と、困惑される親御様も多いですが、当院ではお子様に現在進行している問題として親御様には告知し、しっかりと向き合い考えていただくようにしております。
あまり聞き慣れない目の障害ではありますが、知っておいていただいても良いかと考えます。
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- 心因性視力障害
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